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社説

大学法人統合 学生のメリット示して

 名古屋大と岐阜大が、全国で初めて大学運営法人の統合で基本合意した。他地域でも同様の協議が進む。経営効率化や教育研究機能の強化のためという。学生や受験生へのメリットも示してほしい。

 全国の国立大は二〇〇四年度から「文部科学省に縛られず、教育や研究が自ら考えやすくなるように」と同省の直轄から個別の法人運営に変わった。今回は名大と岐阜大を運営するそれぞれの法人を一つにまとめる。

 それが可能になる法改正が来春行われる予定。両大学は二〇年度に統合した新法人「東海国立大学機構」(仮称)を設立する考えだ。他地域では「静岡大と浜松医科大」「小樽商科大と帯広畜産大、北見工業大」「奈良教育大と奈良女子大」の三組が協議中という。

 名大と岐阜大によると、統合のメリットは、運営のむだを省くこと。事務管理部門や語学などの授業を共通化し、余裕のできた教職員や財源を専門的な研究と教育に振り向ける。共同研究が盛んになれば、産・官・学の連携がより進むとみている。

 規模も大きくなる。学生数は、名大一万五千八百人、岐阜大七千三百人。足すと、国立大では東京大、大阪大に次ぎ三番目に多い二万三千百人になる。名大は今春、予算面で集中支援される「指定国立大学法人」の一つに選ばれた。岐阜大との統合構想が選定の引き金になったという。

 両大学はメリットだけでなく、法人統合の課題も挙げた。「意思決定の遅れや二度手間につながらないか」「共通化で教職員の負担が増さないか」「新法人設立後の混乱と混沌(こんとん)はないか」−など。

 名大の松尾清一学長は「できるだけ排除する」と述べたが、具体策はこれからだ。岐阜大側には「規模の大きな名大に吸収されるのではないか」との懸念もある。岐阜大の森脇久隆学長は「少子化で地方大学を取り巻く環境は厳しくなる。統合で共同研究が増えれば、本学にはチャンスだ」と前向きに話すものの、学生や受験生、OBらに不安は残る。

 大学名や現在の学部、入学定員はそのまま。入試は今まで通り別々に行われる。学生や受験生には統合の利点がよく見えない。

 ノーベル賞研究者を何人も輩出した名大。地域に根ざした教育や研究を続ける岐阜大。“越県統合”の両大学は規模も学風も得意分野も異なる。改革のフロントランナーとして、学ぶ者へのメリットを分かりやすく示してほしい。

 

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