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社説

改正派遣法3年 安心して働けるように

 改正労働者派遣法が施行されて九月末で三年を迎えた。正社員化の促進を狙い改正されたはずが、逆に雇い止めが広がる懸念がでている。政府は実態を把握し必要なら制度を見直すべきだ。

 約百五十六万人が派遣として働いている。派遣は雇用される企業と働く企業が違う働き方だ。働く人にとっては賃金は安く、雇用も派遣先企業の意向に左右され安定しない。

 改正前は、企業の派遣受け入れ期間は秘書や通訳などの専門業務を除く一般業務では最長三年だった。引き続き雇う企業は直接雇用を求められた。二〇一五年九月三十日に施行された改正法では、原則どの業務も同じ職場で働ける期間は一律三年とした。

 その代わり派遣会社には教育訓練の実施や無期雇用、受け入れ企業への直接雇用の依頼を義務付けた。受け入れ企業には派遣労働者に正社員募集の情報提供などを義務付けた。正社員化を進めるためだ。この規定が生かされるのなら派遣から雇用の安定した働き方に転換できる人が増えるはずだ。

 だが、抜け穴がある。働く人を交代させれば企業は派遣を使い続けられる。部署を変えれば同じ人を雇える。これでは企業は人を変えてずっと派遣を使い続けられることになる。

 働く人にとっては派遣のまま職場を転々とすることになり「生涯派遣」が増える。当初から、この懸念は指摘されていた。

 施行から三年を迎えた今、その懸念が現実のものになりつつあるようだ。十五年以上勤務した人が三年となる前に直接雇用されることなく契約更新を拒否された。受け入れ企業と直接雇用の契約話が進んでいたが、派遣会社が受け入れ企業に「紹介料」を請求したことで契約されなかった。

 相談を受ける市民団体には、昨年秋ごろからこうした相談が相次いでいるという。

 安倍晋三首相は改正法の国会審議で「正社員を目指す人にはその道を開き、派遣でがんばる人には待遇改善を行うものだ」と説明した。だが実態は企業に都合よく、働く人が理不尽な扱いを受けることになっていないか。

 政府は、受け入れ企業の直接雇用の実績など実態を把握し、雇用の安定が進まないのならば制度の改善を考えるべきだ。

 派遣法は一二年の改正で法律名に「派遣労働者の保護」を明記、目的を明確化した。それを忘れてはならない。

 

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