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社説

日中首脳会談 関係改善の歩み着実に

 安倍晋三首相と習近平中国国家主席が会談した。首脳同士が胸襟を開いて話し合う意味は極めて重い。今年は日中平和友好条約の発効四十年の節目でもある。関係改善への歩みを止めてはならない。

 良好な関係に向けた着実な歩みを印象づけた。ロシア極東のウラジオストクで行われた日中首脳会談。安倍、習両氏の会談は昨年十一月以来、通算七回目である。

 年内訪中に向けた調整を進める首相は、習氏の「歓迎する」との発言を会談後、記者団にわざわざ紹介した。来年六月に大阪で開く二十カ国・地域(G20)首脳会議時の習氏来日についても、習氏は「留意する」と応じた。

 日中首脳の相互往来が滞り、首脳会談すらできなかった一時の関係を振り返れば大きな前進だ。

 十月二十三日は一九七八年の日中平和友好条約発効から四十年の節目に当たる。これを機に首脳間の信頼構築に加え、関係改善の歩みを着実なものにしてほしい。

 世界第二、第三の経済大国が、経済をはじめ、地域の安定に緊密に協力する意義は極めて大きい。

 両首脳は、朝鮮半島の非核化実現に向けて緊密に連携することで一致し、拉致問題の早期解決を目指す日本の立場に、習氏は「完全な支持」を表明した、という。

 今後、問われるのは実現に向けた具体的な取り組みだ。両国間で協議を急ぐべきである。

 会談では、中国が進める経済圏構想「一帯一路」を巡り、第三国で日中協力を進める方針を申し合わせた、という。

 地域の発展に日中協力は必要だが、一帯一路構想には新たな植民地主義との批判もある。中国側に強権支配の動きがあれば、軌道修正を迫ることも日本の役目だ。

 習氏側には、対日関係改善をアピールすることで、貿易摩擦を巡り対立を強める米国をけん制する狙い、首相側にも自民党総裁選や来年の統一地方選、参院選に向けて外交面での成果を強調する思惑が、それぞれあるのだろう。

 これまでにも政治指導者が政権基盤を固めるため、それぞれ国内の「嫌中」「反日」感情を政治利用してきた経緯がある。日中関係がそれぞれの国内政治に翻弄(ほんろう)されてきたのも事実だろう。

 しかし、有史以来、深いつながりを有する両国である。政治指導者の思惑に惑わされず、国民同士が相互信頼を構築しなければならない。首脳会談は、そのための会談であるべきだ。首脳自身のための会談であってはならない。

 

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