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社説

自民党総裁選 安倍政治の是非を問え

 現職の安倍総裁(首相)に、石破元幹事長がどこまで迫れるのかが焦点だ。きのう告示された自民党総裁選。活発な論戦を通じ、政権復帰後六年弱の「安倍政治」の是非を問う選挙にすべきである。

 自民党総裁選は連続三選を目指す安倍晋三氏(63)と三度目の挑戦となる石破茂氏(61)との一騎打ちとなったが、選挙活動を当面自粛するという異例の展開となった。

 震度7を観測した北海道での地震対応を優先するためだという。発生直後である。災害対応を優先するのは当然だとしても、私たちの暮らしにかかわる論戦まで尻込みする理由にはなるまい。

 二〇一二年以来の選挙戦だ。政権復帰後五年八カ月の安倍氏主導の政治を総括する機会でもある。選挙活動が再開され次第、両候補による徹底的な論戦を望みたい。

 安倍氏は政権復帰後、経済が10%以上成長し、地方の税収が過去最高となり、子どもの貧困率も初めて減少したと「アベノミクス」の成果を強調している。

 しかし、実質賃金や個人消費は伸び悩み、景気回復の実感が、特に地方で薄いのが実態だ。当初二年程度で達成するとしていた2%の物価上昇目標もいまだに達成されていない。

 石破氏は成長戦略を見直し、財政規律にも配慮した「ポストアベノミクス」を提唱する。問題意識は共有するが、より具体的な政策を掲げて論戦を挑むべきである。

 戦力不保持の九条二項を維持したまま、自衛隊の存在を明記する九条改憲案を主張する安倍氏は、秋の臨時国会に党の改憲原案を提出する意向を表明したのに対し、石破氏はその緊急性を否定する。

 九条改憲は平和国家としての日本の在り方を変質させかねない。改憲議論は拙速を戒め、慎重の上にも慎重を期すべきである。

 何より避けて通れないのは、政治への信頼回復をめぐる議論だ。森友・加計両学園の問題では、公平・公正であるべき行政判断が、安倍氏の影響力で歪(ゆが)められたかが問われた。関連の公文書が改ざんされ、国会で官僚の虚偽答弁がまかり通るのは異常である。

 法案の成立強行を繰り返す国会運営は強引で、安倍氏は野党の質問に正面から答えようとしない。石破氏が「正直、公正」を掲げるのも、安倍政権下で繰り広げられる、そうした政治の在り方に対する問題提起なのだろう。

 二十日の開票日まで限られた期間だが、果敢に議論に挑み、誠実に応える選挙戦であってほしい。

 

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