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社説

海上空港と災害 暴風雨への弱点克服を

 台風21号の暴風雨で関西国際空港は滑走路などが水没。陸地との連絡橋がタンカーの衝突で破損し空港内に最大、八千人が取り残された。海上空港は全国五カ所。弱点克服のための対策が急がれる。

 水没と衝突の映像を見て、七年半前の東日本大震災による津波を連想した人も少なくなかったと思われる。関空の担当者は「想定外の暴風雨だった」と話していた。

 確かに、台風襲来の四日、関空では観測史上最大の瞬間風速五八・一メートルを記録。大阪港で三・二九メートルの最高潮位を記録し、観測方法は異なるものの、一九六一年の第二室戸台風時の二・九三メートルを上回った。

 とはいえ、異常気象が頻発する近年の日本では、「想定外」は言い訳になりにくい。今年は八月だけで九個もの台風が発生、中旬には、観測史上初めて五日連続で誕生した。21号は、九三年の13号以来二十五年ぶりに「非常に強い勢力」(最大風速四四メートル以上五四メートル未満)で上陸、本州を縦断し、猛威をふるった。

 日本の海上空港は、開港順に長崎、関空、中部国際、神戸、北九州の五カ所。「陸地から離れているため、騒音公害の懸念や運用時間の制約が少ない」「漁業権などの問題はあるが、まとまった用地が確保できる」「万一事故が起きても、市街地への影響は小さい」−などのメリットがある。

 半面、海の中に造るゆえ、浸水被害に遭いやすい。関空では、地質が緩いため、建設時から地盤沈下が続き、開港後二十四年間で最大四・一四メートル沈んだという。部分的に護岸を三メートルかさ上げする工事が今夏、終わったばかり。五十年に一度の高波にも対応できる設定だったというが、新たな対策が求められることになりそうだ。

 短所はまだある。空港への出入り口になる橋やトンネルが通常は一本だけなので、通行不能になると空港全体が孤立する。二本目を造るのが理想ではあるが、莫大(ばくだい)な費用がかかる。今回は、タンカーの衝突がなければ、暴風が収まった時点で橋は開通し孤立状態は解消できたとみられる。

 台風時に、空港付近にいる船舶の停泊の仕方などにも、さらに知恵を絞る必要があるだろう。

 メリットもデメリットも抱えながら運用される海上空港。今回の事故で暴風雨へのもろさが浮かび上がった。復旧・再開のめどが立っていない関空はもとより、他の四空港も「想定外」への備えを怠らないでほしい。

 

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