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社説

月探査計画 「円い地球」を見たいね

 世界の研究者、技術者が今、月を目指している。日本でも官、民の計画がある。バラバラでは実現は難しい。チーム「人類」ぐらいの気概で、月面有人探査やその後の火星探査を目指してほしい。

 賞金二千万ドルを懸けた民間月探査レースが終盤を迎えている。課題は「月面に着陸し、五百メートル走行して映像を地球に送る」ことだ。

 日本のチーム「ハクト」は十一日、ロケット打ち上げのめどが立たないため、期限の三月末に間に合わないと発表。一方で「民間初の月面探査は目指す」と挑戦を続ける意欲を示した。あと一歩まで迫っているのだ。

 有人探査計画も動きだした。

 トランプ米大統領が先月、米航空宇宙局(NASA)に月を回る宇宙ステーション建設を指示した。現在の国際宇宙ステーション(ISS)は二〇二四年に運用を終える計画で、その後継となる。

 宇宙は米国と旧ソ連の競争の場だった。旧ソ連が人類初の有人宇宙飛行に成功した一九六一年、当時のケネディ米大統領は「六〇年代末までに月着陸を実現させる」と議会で演説。六九年、アポロ11号が月面着陸に成功した。米国旗を立てることに意味があった。

 トランプ大統領は「今回は月面に国旗を立て、足跡を残すだけではない。火星探査などの礎を築く」と語った。国際協力で進めるとも話している。

 日本の宇宙政策委員会は宇宙基本計画に「月近傍の有人拠点への参画」を盛り込む予定である。ロシアや欧州も参加する。新たな国際プロジェクトに育ちそうだ。

 夢のある計画は歓迎したい。一方、ISSは年間約四百億円の負担である。月になればさらに巨額の負担となるだろう。目標をしっかり定め、意義を国民にきちんと説明することを求めたい。

 これまで、政府は力を入れていたが、宇宙ビジネスの国際競争力は弱かった。最近、ベンチャー企業がロケットの打ち上げや月面探査車の開発を始めている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と企業が協力して宇宙を目指す態勢を整える機会にしたい。

 日本人宇宙飛行士を月面に送る意義も議論すべきだろう。

 現在のISSは期待されたほどの科学的成果は挙げていない。しかし、ロシアも加わり、外交面での貢献は小さくない。次は中国も誘いたい。月の地平線から上る「円い地球」を、世界中の人たちが共に見るだけでも友好を深めることにつながる。

 

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