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社説

年金の支え手 給与明細を見てみよう

 会社員らが支払う厚生年金の保険料率が九月に引き上げられた。年金財政を維持するための最後の引き上げだ。ただ、将来年金を受け取れる安心は、加入が前提、その範囲をもっと広げたい。

 保険料率は18・3%になり、多くの人が十月の給与天引きから適用されている。労使折半なので働く人の負担は9・15%だ。料率は二〇〇四年の制度改正で13・58%から毎年、引き上げられてきた。今回の引き上げが最後となる。

 これを機に自身の給与明細を眺めてみてほしい。年金制度を知るいい機会になる。

 公的年金の財源をどう確保し、どう支給するか。少子高齢化が進む社会では悩ましい問題である。実は、〇四年の制度改正でその考え方を大きく変えている。

 それまでは支給に必要な財源を、現役世代の保険料を上げることで賄ってきた。しかし、高齢者が増えると、現役世代の負担が増え続ける。そこで、保険料率に上限を決めそこまで引き上げて固定し、そこから得られる保険料収入で払える額を支給する。同時に、高齢者にも支給額の伸びを少し我慢してもらう。こんな改正だ。

 国民年金も毎年保険料を引き上げ、今年四月に月一万六千九百円で据え置いた。

 高齢者一人を現役三人で支える現在から、約三十年後には現役一人で支える超高齢者社会となる。限られた財源だ。その中でやりくりするのは致し方ない。

 課題は低年金・無年金の人の支援だ。消費税率が10%になると低年金者には月最大五千円の給付金制度が実施される。年金を受け取るのに必要な加入期間が二十五年から十年に短縮されて無年金者の一部が受給できるようになった。

 大胆に進める必要のある対策は、厚生年金に加入できる対象者を拡大することだ。パートなど短時間労働者は職場の厚生年金に加入できないケースが多い。国民年金に入るしかないが、高齢になっても働き続ける自営業者を想定した制度なので支給額は少ない。

 昨年十月に一部の短時間労働者に対象を広げたが、約三十四万人にすぎない。厚生年金は国民年金より安い保険料で国民年金より高い年金の支給につながる。対象者の拡大は、将来の無年金・低年金者を減らせる。

 経済的に苦しく保険料を払えない人には免除などの手続きができる。政府は、制度の利点を分かりやすく伝える努力を惜しんではならない。

 

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