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社説

米韓首脳会談 対話の道開く機会に

 日韓両国を歴訪したトランプ米大統領は、北朝鮮への圧力路線を維持する一方、対話の必要性にも言及した。これ以上の緊張は望ましくない。この機会に対話実現に向けた道筋を探るべきだ。

 トランプ氏は、日本と韓国での首脳会談を通じ、北朝鮮に対して、「最大限の制裁と圧力」で臨む方針を確認した。

 この合意に前後して、日本と韓国が対北朝鮮独自制裁を発表した。トランプ氏も韓国国会での演説で、「北朝鮮は米国を試そうとするな」「北朝鮮は楽園ではなく地獄だ」などと批判した。さらに最高指導者の金正恩(キムジョンウン)氏を「暴君」「独裁者」と呼んだものの、言及は比較的短かった。

 トランプ氏はかつて、金正恩氏を「ロケットマン」と揶揄(やゆ)し「核やミサイル開発を無謀に進め、国民を飢えさせている」と指摘した。そういった表現は、今回の日韓訪問では聞かれなかった。

 逆に、韓国国会での演説でトランプ氏は、「挑発をやめ核開発を放棄するなら、北朝鮮の未来のために話し合える」と、対話の可能性に触れている。

 実は、前日に行われた文在寅(ムンジェイン)大統領との首脳会談後の記者会見でもトランプ氏は、「北朝鮮が協議の席に着いて、取引するのが理にかなう」と呼びかけていた。

 以前、対話は「時間の無駄」とも公言してはばからなかった同じ人物が、対話を否定しない姿勢を示したことはよい。

 米朝間の緊張が続いているため、万が一、軍事的な衝突が起きた場合の莫大(ばくだい)な被害についての想定が、さまざまな機関から発表され、懸念の声が高まっている。

 国際社会の声を聞かず、核、ミサイル開発を強行する北朝鮮の行動は厳しく非難されるべきだ。

 しかし、これ以上緊張が高まれば、偶発的であれ、軍事衝突につながる危険性も否定できない。

 北朝鮮の挑発行為も止まっている。九月十五日に、北海道のはるか上空を越える「火星12」を発射して以来、ミサイル発射はない。

 「非核化交渉を夢見てはならない」(四日の朝鮮中央通信)と、核を巡る交渉を拒否する姿勢は示しながら、トランプ氏のアジア歴訪での発言や、関係国の反応を見極めようとしているのだろう。

 北朝鮮の核問題は複雑な背景と長い歴史があり、圧力だけで解決できるとは思われない。外交交渉の糸口を探る努力を、本格化させる時期に来ている。

 

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