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社説

COP23 大切なステップだから

 気候変動枠組み条約第二十三回締約国会議(COP23)がドイツのボンで始まった。パリ協定のルールブックづくりが本格化、温暖化に歯止めをかける“約束”に魂を込める、重要なステップだ。

 “全員参加”がパリ協定の大前提だ。

 先進国だけに温室効果ガスの削減目標を割り当てた京都議定書とは違い、どれだけ減らすかは、参加各国の申告制になっている。ある意味緩い。だが、だからこそ、議定書では削減義務のなかった二大排出国の米中を含む百九十七の全条約加盟国・地域が参加した。

 パリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ二度未満、できれば一・五度未満に抑制、今世紀後半にはガス排出を実質ゼロにするという目標を掲げている。

 国連環境計画が先月末に公表した報告書によると、今届け出のある自主目標をすべて達成し得たとしても、気温は三度上昇し、地球は未知の災害に見舞われる。

 パリ協定は、進化を前提とした未完成の約束事だ。五年ごとに、それぞれの目標を引き上げる。協定の運用ルールは来年のCOP24で決められる。目標引き上げに向けた話し合いも来年からだ。

 COP23はパリ協定のスタートダッシュに弾みをつける大切な会議なのである。

 採択から発効まで七年余をかけた京都議定書とは違い、パリ協定は一年足らずで発効にこぎ着けた。世界中で異常気象が顕在化、国際社会が危機感を共有したことの表れだ。今年、相次いで巨大ハリケーンに見舞われた米国も、例外ではありえない。

 トランプ大統領の離脱表明をよそに、全米で二千五百人を超える市長や州知事、企業トップらのグループは「われわれはまだパリ協定の中にいる」との声明に賛同している。進化は加速するだろう。

 大気汚染に悩む中国などと見比べても、日本の出足は鈍い。低い目標、多量排出源である石炭火力発電所の増設計画などに、国際社会は厳しい視線を送っている。このままでは、運用ルールづくりへの発言力を失って、国益も地球益をも、損なうことになりかねない。協定発効に伴って急速に膨らみつつある再生可能エネルギー市場でも、さらに水をあけられることになるだろう。

 大切なステップの年だからこそ、目前の“地球難”回避に向けた具体的貢献策を、強くアピールすべきである。

 

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