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社説

<’17衆院選>自民党の公約 改憲は最優先ではない

 自民党が初めて衆院選公約の重点項目に「憲法改正」を掲げた。自衛隊の明記など四項目を挙げるが、必ずしも改正を必要としないものも含まれる。選挙結果にかかわらず、慎重な議論が必要だ。

 自民党公約は北朝鮮対応、アベノミクス加速、改憲など六つの重点項目と、国政全般にわたる公約を列挙した「政策バンク」からなる。重点項目に改憲を掲げたのは、政権復帰後の国政選挙では初めてだ。公約はこう記す。

 「自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、緊急事態対応、参議院の合区解消など四項目を中心に党内外の十分な議論を踏まえ、初めての憲法改正を目指します」

 九条一、二項を残しての自衛隊明記と、教育無償化を具体的な改憲項目に挙げた安倍晋三首相の意向を反映したものだろう。

 政権復帰後の自民党は選挙公約の第一に経済再生を掲げ、党是としてきた改憲は、政策バンクの最後で簡単に触れるだけだった。

 改憲を重要項目に「格上げ」したのは「二〇二〇年を、新しい憲法が施行される年にしたい」との首相の意向を踏まえ、改憲発議に動きだすとの宣言なのだろう。

 とはいえ、共同通信社の最新の全国電話世論調査によると、安倍首相の下での改憲に賛成は34%にとどまり、反対は53%に上る。

 改憲公約の四項目も、なぜ今、改正が必要なのか、説得力ある説明は政権側から聞こえてこない。

 たとえば自衛隊の明記。歴代内閣は自衛隊を合憲と認めてきた。連立政権を組む公明党の山口那津男代表は、九条改正や二〇年の改正憲法施行について「容易に見通せる状況ではない」と否定的だ。

 教育の無償化は改憲によらず対応可能との指摘があり、参院の合区解消には都道府県間の「一票の不平等」を憲法で容認していいのかという、根本的な問題がある。

 「国難」とまで呼ぶ北朝鮮の脅威にもかかわらず、首相が衆院解散に踏み切ったことを考えると、現行憲法でも十分、緊急事態下の政治空白にも対応できるのではないか、との疑問が残る。

 「改憲政党」を掲げる自民党と希望の党への支持率が高い状況ではあるが、たとえ衆院選に勝ったとしても、改憲発議を白紙委任されたと受け取るのは早計だろう。

 国民の権利や基本的人権、平和的存在にかかわる憲法だ。たとえ改正が必要だとしても、その議論には慎重を期し、大方の国民が得心する内容でなければならない。

 

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