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マクロン派圧勝 「輝き」を取り戻せるか

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 仏総選挙でマクロン大統領率いる新党が圧勝したのは、数十年間も経済停滞を打破できなかった既存政治の刷新を国民が求めたからだ。分断が目立つ社会の融和も、新政権の喫緊の課題である。

 「忘れられた人になるリスクをとるか、それとも私に付くか」

 結党からわずか一年余りの新党の圧勝劇は、日本なら「風が吹いた」と見られがちだが、マクロン政権は違った。綿密な戦略で勝つべくして勝ったといわれている。

 凋落(ちょうらく)傾向の社会党の有力議員は、動揺を突いて自党に引き抜いた。共和党に対しては主要閣僚ポストに起用したり、候補者調整を持ち掛けたりして懐柔。「左派でも、右派でもない」の標語通りに支持基盤を広げた。

 とはいえ最大の要因は、この数十年、交互に政権を担った二大政党が経済の低迷から一向に立て直すことができず、若者の四人に一人が失業という事態を常態化させてきたためである。

 終戦後、「栄光の三十年」といわれる高度経済成長のレールを敷いたドゴール氏や、一九八〇〜九〇年代に欧州連合(EU)の基礎を築いたミッテラン氏のような偉大な大統領が率いた時代の輝きは失われたままだ。

 社会保障や労働問題などの古いテーマに拘泥し、移民とテロという難題に翻弄(ほんろう)され、グローバル化と国家主権の相克に立ちすくむ。そのすきに極右勢力の伸長を許した。それが二大政党の姿である。

 マクロン大統領は安定的な政権基盤を手に入れた。パリ郊外に住む幼稚園教諭、ルイーズ・マフディさん=写真=は「テロの影響による陰鬱(いんうつ)な雰囲気を変えてほしい。大統領は戦略的で熟考型の交渉術をもち、米独などと渡り合える姿を示した。国際的な地位向上を実現してほしい」と口にした。

 パリの上級会計士、ステファン・ベランジェさんは「経済構造、そしてグローバル化教育を含め欧州統合におけるフランスの役割など古びたものを『現代化』するような改革が必要」と注文した。

 投票率が低く国民の広い支持を得たとはいえないと指摘される。社会の分断を修復し、かつての輝きを取り戻す絵を描けるか。国民の支持はそこにかかっている。

 

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