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社説

米国の利上げ 日銀の「転換」はいつだ

 米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを決め、年内の追加利上げも見込む。すでに超金融緩和終了へ動きつつあるのに対し、なぜ日本は異常な緩和政策を止められないのか。

 世界金融危機、いわゆるリーマン・ショックから九年だ。震源国である米国はいち早く金融政策の正常化へ歩みを進めている。

 物価上昇率が目標の2%に近づき、失業率も5%を下回って、ほぼ完全雇用に達したことが利上げの理由である。

 米国の利上げは一昨年十二月に始まり、昨年も十二月に一回、引き上げた。だが今年は今回を含めて年三回程度を見込み、利上げペースは速まりそうだ。

 これまで0・25%ずつ、計三回の利上げで短期の政策金利は「0・75〜1・0%」になった。これでトランプ大統領の政策は先行き不透明でも、大幅減税や官民による一兆ドル規模の大規模投資で景気が過熱すれば引き締めを、逆に政策がうまくいかず景気後退となれば緩和もできる。

 対照的なのが日銀だ。金融政策の維持を決め、異次元緩和やマイナス金利をするも効果が出ない。この彼我の違いはなぜなのか。

 米国は金融緩和をすれば雇用が改善し、労働市場が引き締まってパートタイマーがフルタイムに移行、賃金が上昇していく。マクロ経済の教科書通りだ。

 対して日本は緩和で雇用環境が改善しても、非正規と正規の労働市場が分断されているので非正規から正規への移行はほとんどなく、賃金上昇に結びつかない。

 また金融緩和は株価上昇を誘発し、株式投資が盛んな米国では株高は広く資産効果から消費拡大につながる。だが日本では「持てる富裕層」が富を増やしただけで消費増は極めて限定的だ。

 アベノミクスは、賃金上昇を起点に消費増→生産増→設備投資増という好循環を目標とした。

 しかし、いくら金融緩和しても労働市場の制約で非正規の賃金は上がらない。正規社員も、今春闘が示したように賃金上昇は鈍い。好循環どころか逆に、消費減→生産減→設備投資減の悪循環に陥っているためだ。

 やるべきことは明白だ。働く人の四割にまで膨張した非正規を縮小すること、消費減の要因である将来不安を和らげるために社会保障を立て直すことだ。米国のノーベル経済学賞学者の意見をいいとこ取りしたり、財界と二人三脚でつくるような政策ではだめだ。

 

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