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社説

日韓関係「逆風」 改善の流れを止めるな

 新年早々、日韓関係がまた険しくなってきた。慰安婦問題での合意について、韓国で否定する動きが広がり、日本側は対抗措置を取った。一年かけて築いた改善の流れを止めてはならない。

 昨年末、韓国の市民団体が釜山市の日本総領事館前の公道に、旧日本軍の慰安婦問題を象徴する新たな少女像を据え付けた。

 ソウルの日本大使館前には既に少女像が設置され、二〇一五年末の日韓合意で、韓国政府は「適切に解決されるよう努力する」と確認したが、像撤去には動かず、今度は釜山にも登場した。

 日本政府は駐韓大使と釜山総領事を一時帰国させる。通貨危機の際にドルなどを融通し合う「通貨スワップ(交換)協定」の協議再開の中断も決めた。在外公館の「安寧と威厳」を守るよう義務付けた、領事関係に関するウィーン条約に抵触すると判断した。

 朴槿恵大統領は政権内の不正が発覚して国会で弾劾訴追され、職務停止中だ。時を合わせるように、国内では朴政権が進めた日韓合意を否定する動きが広がる。黄教安首相が大統領代行を務めるが、釜山での像設置は自治体が判断する事案だとして対応策を示せなかった。外交は機能停止状態だと受け止めざるを得ない。

 日本側は経済協力分野でも強い措置を取ったが、次期大統領選に意欲を見せる野党候補が慰安婦問題や防衛協力の日韓合意について撤回、または再交渉を求めていることをけん制したとみられる。

 慰安婦問題では、一五年末時点での生存者四十六人のうち、七割余の三十四人が日本側の拠出金を受け取る意向を示すなど、合意で決まった救済事業は着実に進んでいる。この事実を韓国側はもっと重く受け止めるよう望む。

 日韓はともに北朝鮮の脅威に直面する。金正恩労働党委員長は新年辞を通じて、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射準備が「最終段階を迎えた」と述べた。日韓に米国を加えた連携の強化がこれまで以上に重要になる。

 ただ、稲田朋美防衛相が年末に靖国神社を参拝したことに韓国が反発し、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の運用など、防衛協力の進展は不透明だ。

 韓国の混迷は政治腐敗をただし、より民主的な体制を生み出すプロセスと言えるが、外交を混乱させぬよう国内政治とは一線を画すべきだ。日本側は繰り返される反日感情など、韓国情勢を注意深く見守る必要がある。

 

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