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編集局デスク

新しい仲間に贈る

 今年も編集局に三十五人の新しい仲間を迎えました。八月の配属を控え、各部で研修中です。

 今はネットが全盛で新聞離れも言われています。そんな時代でも、あえて新聞記者を仕事に選んだ彼らを心強く思います。

 将来どんな記者になりたいか。尋ねてみれば、「中国を深く取材したい」「教育に興味がある」と次々に答えが返ってきました。

 ただ、それぞれに夢を持つ彼らに必ず言うことがあります。「中日新聞は地方紙である」ということです。新人記者の取材活動は、各地の支局で始まります。その土地になじみ、そこで暮らす人に受け入れてもらう。小さな記事でも心を込めて書く。それが出発点だと新人には教えてきました。

 一つの詩を思い出します。名作『エミールと探偵たち』などを生んだケストナーが歌いました。

 <私はザクセンのドレースデン生まれのドイツ人だ。/故郷は私を放さない。/私は、ドイツで生えた木で、/やむなければ、ドイツで枯れる木のようだ。>

 ナチスから禁書の迫害を受けながら、ドイツにとどまった作家の心が伝わります(高橋健二『ケストナーの生涯』より)。

 これほど劇的ではないにしろ、そこで生えた木のように、しっかりと根づいて暮らす素晴らしい人たちがどの土地にもいます。その思いをきちんと伝え、その営みをないがしろにするものには厳しい目を向ける。それが記者の役割です。

 時代が変わっても変わらない記者の志を受け継いでいってもらいたい。新しい仲間に心の中でそう声援を送ります。

 昨日で、編集局長を交代しました。小欄をお読みいただいたことに感謝を申し上げます。ありがとうございました。

(名古屋本社前編集局長・臼田信行)

 

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