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編集局デスク

名探偵の警句

 ブラウン神父と言えば、英国の作家チェスタトンが生んだ名探偵です。ある事件で関係者から「探偵諸君にはどうも答えが見えていないようですね」と問われ、神父はこう言います。「答えが見えないのではありません。問題が見えないのですよ」

 『ブラウン神父の醜聞』(創元推理文庫)に出てくる言葉。何が本当の問題かを見すえなければ、解決などしようもありません。

 加計(かけ)学園の獣医学部新設をめぐる問題の本質は何か。公平公正であるべき行政が、政治によってゆがめられているのではないかということでしょう。

 「総理のご意向」などと示された文書が明らかになっています。政府は「確認できない」と言い続けてきましたが、前文部科学事務次官の前川喜平氏は、間違いなく文書は存在すると語っています。官房長官は、前川氏の人格を非難して証言を疑わせることで事を解決しようと懸命のようです。

 氏は、官邸と役所の関係を本紙に語りました。「役所の自律性、独立性が急速に失われてきたという感覚は持っている。大臣も官邸になかなか言えない」。さらには「われわれは志をもって国家公務員になっているのに、最近は一部の権力者の下僕になることを強いられることがあると思う」と。

 事務次官まで務めた人物がそこまで語るのはよほどのことです。文科省の複数の現役職員が文書の存在を認めたことも報道されました。志ある官僚たちのうめきが聞こえるようです。

 異議を唱えにくくさせ、公僕に下僕だと嘆かせる。それが、まっとうな政治と言えるのかどうか。

 文書の有無は問題の一端。大きな問題の本質が見えない限り、国民の多くが納得できる答えは見つけられないでしょう。

(名古屋本社編集局長・臼田信行)

 

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