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放射線測定機を独自開発 春日井の田中さん

自作の放射線測定機を手にする田中さん=春日井市高座台で

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 空気中の放射線量を二十四時間自動で記録し、リアルタイムでグラフ化できる測定機を、春日井市高座台の元理科教諭田中英二さん(67)が独自に開発した。授業の教材として紹介したり、自宅の線量を定点観測したり、目に見えない放射線を身近に感じられる活動を続けている。

 教材開発をする有志の理科教員グループに所属し、静電気のプラス(+)とマイナス(−)がランプで分かる判定機など、授業を分かりやすくする数々の教材を開発してきた。放射線測定機は、最も時間をかけた新作だ。

 二〇一一年、東日本大震災が起き「放射能のことをもっと教えなければ」と痛感した。これまで指導してきた中で「放射能の単元は座学だけ。全く面白くなかった」。震災後に文部科学省から学校に、数値を表示するだけの簡易な測定機は配られたが、放射線を理解するには足りないと考えた。

 定年後、再雇用の傍ら、測定機の制作を始めた。ロシア製の部品なども集めたが、電圧調整に苦戦。インスタントカメラ内部の発光機を用いて、一五年に完成させた。クリック操作で、データをグラフ化できる専用のソフトウエアまで開発した。

 発想次第で使い方は自在。田中さんによると、授業で使用したある教諭は、自分で採取した福島の土を準備。測定機にかぶせ、スクリーンに映るグラフが急激に跳ね上がることで生徒を引き付けたという。

 機能は日々進歩する。元教諭で、福島でフィールドワークなどを行う瀬戸市八幡台の富田孝正さん(75)が「持ち運べて、記録もできるものにならないか」と言ったことから、SDカードを使えるようにした。今では衛星利用測位システム(GPS)や、Wi−Fi通信で自動的にデータをパソコンに保存できる機能も備える。用途は広がり、自宅の放射線量を二十四時間記録することなども簡単にできるようになった。

24時間の放射線測定結果を示すグラフを見せる富田さん=瀬戸市八幡台で

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 制作は完全受注。田中さんの手で三日間かかる「どこにもない、何十万円出しても買えない測定機」だが、ほぼ材料費のみの二万円で請け負う。友人や理科教材の見本市の出品で知った人ら三十〜四十人が所持している。田中さんは「測ることで見えないものが見えるようになると、意識が変わる。これが物理教員の矜持(きょうじ)。身近な状況を知る活動が広まってほしい」と願っている。(問)田中さん=e_dentyu@zm.commufa.jp

 (菅谷仁志)

 

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