トップ > 愛知 > 1月13日の記事一覧 > 記事

ここから本文

愛知

100年前の植物標本、再生 西尾市民ら修復

大正から昭和にかけて三河地方で採集された標本を再生させたながね会の会員ら=岡崎市役所で

写真

 大正、昭和期に三河地方を中心に採集された植物標本1000点ほどが見つかり、西尾市の市民らによる修復作業を経て「百年前の植物標本」としてよみがえった。専門家も「当時の自然環境を知る上で貴重な資料」と評価。岡崎市の小学校で展示後、博物館や学校などへ贈ることを検討している。

 標本は岡崎市や西尾市の小学校教員だった早川三雄(一九〇六〜六五年)が二〇〜五〇年代、教材や研究材料として作製。早川は三河の植物研究者らでつくる「山草同好会」の会員で、国内で「植物学の父」とされる植物学者牧野富太郎とも交流があったとみられる。

 標本にはA3サイズの用紙に植物が貼られ、左下に植物名や採集した日、場所が記されている。カノコソウやイワタバコなどの多年草、ササユリ、エゾギク、テングサやフノリなどの海藻類があり、当時、三重県の天然記念物だったムカデランなど珍しい種も。採集地は三河が中心だが、滋賀、静岡県なども含まれる。十年ほど前、岡崎市の早川の自宅を親族が改築した際、倉庫にあったブリキ製の箱から標本が見つかり、地元住民が保管していた。

 二年前に、明治期の歴史を研究する西尾市の市民団体「田中長嶺(ながね)事績顕彰会(ながね会)」が地元住民から相談を受け、会員らが補修作業を開始。植物を覆っていた薄手の紙を外し、新たにプラスチック製の袋で密封するなどした。

 名古屋大大学院環境学研究科の西田佐知子准教授(植物分類学)によると、個人で作った標本は捨てられてしまう場合が多い。今回の標本は「採集地や日時がきちんと記録されており、保存状態も良い」という。同じ地域の植物が一定量まとまって確認でき「環境を推測したり、分布を比較する上で役立つ」との見解を示す。

 ながね会は二十二日、かつて早川が勤務した岡崎市岩津小学校で、標本千点を展示する予定。中條長昭会長(81)は「情報が少ない時代に、採集した熱意が感じられる。実物が身近に感じられる標本の魅力を、子どもたちに味わってもらえれば」と期待している。

 (森田真奈子)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索