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昭和区で銭湯70年、「喜乃湯」閉業へ

今月末で閉業する喜乃湯の浴場と、店主の梶田一喜さん(右)、妻の典子さん=名古屋市昭和区村雲町で

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 七十年ほど前の創業当時の姿を残す銭湯「喜乃湯(よしのゆ)」(名古屋市昭和区村雲町)が、今月末で閉業する。かまなど設備の老朽化が進んでおり、やむなく決意した三代目夫婦は感謝とともに「本当は続けたい」と話す。戦後の庶民を温めてきた憩いの場が、また一つ消える。

 大通りを一本外れた住宅街。控えめな「ゆ」ののれんが目印になる。たたずまいは、一九四九年の創業当時とほぼ同じ。小ぶりの下足箱、脱衣場のベンチ、天井からつり下がる扇風機などは今も現役だ。

 三代目は梶田一喜さん(64)。祖父の故・一夫さんが創業した。材木店を営んでいたゆかりで、大黒柱やはりはひのきがふんだんに使われた。風呂の水は地下七十メートルからくみ上げる井戸水。水質が良く、飲むこともできる。

 最盛期の客数は一日あたり五百人。一喜さんの幼少期の仕事は下足番。「履物が店の外まであふれた」と振り返る。時には有名人も。酒造会社「黄桜」(京都市)のイラストで有名な清水崑さんもその一人。「女がっぱも入りに来ている●の湯かな」と即興で半紙に描かれた作品は、脱衣場に飾られている。

 常連客は七十〜八十代が中心。かつて区内に三十五軒あった銭湯も、いまでは喜乃湯を入れてわずか五軒。喜乃湯でも、最近は配管などの老朽化に加え、耐震対策が悩みの種だった。一喜さんの妻典子さん(62)は「憩いの場を無くすことは心苦しいが、長く親しんでもらった」と感謝を口にする。

 土曜定休のため、営業は九月二十九日まで。

 (佐々木香理)

 ※●は七が三つの喜

 

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