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子どもの居場所に迫る開発の“影” 名古屋市中心部

園庭で元気に遊ぶ子どもたち。南側にマンションが完成すると、この日差しが遮られる可能性が高い=名古屋市中区丸の内3で

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 リニア中央新幹線の開通に向けて開発に沸く名古屋市中心部で、子どもたちの育ちの場が脅かされている。幼稚園の隣で高層マンションの建設計画が進んだり、保育園がいつも使う近くの公園がなくなりそうだったり。子どもが健やかに育つ環境を社会としてどう整えていくのか−。

 名古屋城の南側のオフィス街に位置する名古屋教会幼稚園(名古屋市中区丸の内三)。平日の昼すぎ、太陽が照る園庭では子どもたちが走り回り、暖かな日差しが注ぐ園舎内にも元気な声が響き渡る。「マンションが建つと、昼間でも真っ暗になると思います」。石原ゆかり園長(56)が、幼稚園南側の空き地に視線を向けた。

 ■幼稚園の隣に

 計画されているのは、十五階建ての分譲マンション。プレサンスコーポレーション(大阪市)が昨年五月、四階建ての古いビルが立ったままの土地を購入した。幼稚園はビルの解体や、新しいマンションが完成した場合の園児に及ぼす影響を挙げ、計画の撤回や対面による協議を求めてきた。

 幼稚園が最も問題視するのは、午後、日が当たらなくなることだ。午前中は南東側の既存の建物で今も日が差さないが、新たに日照権が侵害されるという。ほかにも、高層ビルの圧迫感が幼児にストレスを与え、ビル解体や建設時の騒音、振動も健康に悪影響をもたらすと指摘する。

 実際に解体工事中の昨年十〜十一月は、名駅前に幼稚園を移転。現在は元の場所に戻るが、今度は新規の入園をちゅうちょする保護者も出てきて、園自体の存続の危機にもさらされているという。

 ■受忍限度内?

 プレサンスコーポレーションに見解を問う書面を何度も提出。同社は一月、日照権と圧迫感について「計画地は商業地域であり、一般社会通念上、受忍限度内の事象として常識的な見地よりご理解賜りたい」と書面で回答した。

 過去に圧迫感が権利として認められた訴訟の代理人を務め、幼稚園を支援する川口創弁護士は「法律にのっとって手続きしていると相手は主張するが、百パーセント、相手の権利を侵害していないというわけではない」と指摘。「もう少し工夫できないものか。子どもの育ちを大事にする社会にすべきだ」と訴える。

 さらに幼稚園西側のコインパーキングには、県薬剤師会が三階建ての会館を計画し、幼稚園は南側、西側両方からの日差しが遮られることになりそうだ。石原園長は「子どもたちが健康に育つ環境は、大人が守らないといけない」と話す。

 ■園庭の代わり

 一方、同市の金山総合駅に近いかわらまち保育園(中区金山一)は、毎日のように園庭代わりに利用している古沢公園がなくなりそうで困っている。金山地区の再開発の一環で、市民会館の建設計画が持ち上がっているためだ。計画の策定段階の有識者会議では「公園がほとんど使われていない」という発言もあり、反発する。

 昨年十月末に始めた公園の存続を求める署名は、一日現在で七千九百八十六人分。日下美知代園長(57)は「計画は否定しないが、なぜ子どもたちが遊ぶ公園をつぶされないといけないのか」と納得できずにいる。

 (戸川祐馬)

 

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